姉ちゃんは、たった一か月の間に…。本当に汚されたんだ。
もう…完全に俺の知っている姉ちゃんではないんだ…。
誰よりも姉ちゃんを愛しているのに。好きなのにっ、誰よりも幸せにしたいのに――
幸せにしたい、と
幸せにできる、は違う。
結城と俺は…違う。
忍を独り占めできる結城。
姉ちゃんをも独り占めできない俺。
何もおかしくないのに、笑い声が漏れた。
笑える。
愛してやまない姉ちゃんは、俺なんか敵わない眉目秀麗で金持ちな申し分ない男の“モノ”。
正真正銘の血統書付きの王子様がお姫様を見つけてしまったんだ。
……結城はあの白い肌に触れたんだ、俺が見たこともない姉ちゃんを結城は知っている。
俺が知らない姉ちゃんの…忍の全てを結城は知っている。
……馬鹿みてえ。ほんと…馬鹿じゃないのか。ずっとずっと傍に居たのは俺なのに。
守ってやれさえできないなんて。
姉ちゃんを守れなかった。
結城に姉ちゃんを捧げさせてしまった。
…それは俺が子供だから。
大きく玄関の扉が閉まる音がして、慌てて階段を降りた。
…だけど、もう遅くて
姉ちゃんは帰っていった。
婚約者の元へ――
…未来の旦那の隣へ―――



