結城に嫉妬をしてる。あの指輪を引き抜いてやりたかった。そんなモノに人生を捧げて欲しくなかった。
だから酷いことを言っていた。
ずっと姉ちゃんは指輪をくるくる回しながら唇を噛んでいて…
姉ちゃんは――お金の為に婚約をしたのではない。
家族を守る為に婚約をしたのではない――
本当は……姉ちゃんは――…
…いや、考えたくない。
この先を確信すると俺は本当に生きてけない。
このまま姉ちゃんをさらいたかった。
――だけど、…姉ちゃんは……いや、考えたくない。
「そうだね、ごめんね」と、姉ちゃんは指輪を握り締める。
そんなに指輪は姉ちゃんの安定剤なのだろうか。そんな金しか繋がりがない指輪が大事なのだろうか。
後から思えば、この時の俺は確実に姉ちゃんの気持ちを知ってしまっていたんだ。
なぜなら、好きな女の考えることくらい分かる。
だてに弟をやってきたのだから。
…だけど、弱い俺は気付かないふりをした。それは…今でも間違いだとは思わない。



