「忍が帰ってくるって言うから…ホテルに泊まってもらっている」
「ーーそう。いい、外食しようよ、どこがいい?何食べたいの?ファミレスでいいじゃん、ね、良いよね?決まり。じゃあ出かけるよ。ほら早く。お母さん呼ぼうよ、ね。」
忍、と父さんが声をかけるけれど姉ちゃんは続けて喋る。
「ね?茜も実も外で食べたいんでしょ?お金もあるみたいだし。ほら行こうよ。服それで良い?行くよ」
明らかに彼女は動揺していて、らしくない早口で捲し立てる。
なのに俺はそんな可哀相な女の子にかける言葉が見つからない。ただ会話を聞き流すしかできない。
姉ちゃんは唇を噛んでいて、我慢する時の癖に気付いているのに、何も姉ちゃんに言えなかった。
結局、近所のファミレスに来ていた。
がちゃついた店内には、ドリンクバーに向かう子供、注文を口にする男性客、皿を下げるウエイトレス。
俺はハンバーグセット、椿はグラタン、茜と実はお子様セットを頼む。
姉ちゃんが居るのに、黙ったままで居る自分が、なんだか無性に笑えた。



