何を言っているんだろうか。からあげは兄弟みんな好きなご飯じゃんか。
なんで?
「ーーどして、好きじゃんか」
俺ではなく姉ちゃんの震えた声がして、“ほら姉ちゃんを困らせるなよ”と、言いたいのに言葉が出ない。
「お姉ちゃんの料理美味しくないもん。お母さんの方が美味しいよ」
「そうそう、お姉ちゃんお母さんより下手だもん」
「え、お母さん?!」
驚いた姉ちゃんに父さんが「戻ってきたんだ、母さん」と言う。
「お母さんって…!」
いくらかヒステリックな声色は、姉ちゃんが傷付いている証拠で―――
「戻ってきたんだ」と、淡々と告げる父さん。
唇を震わせているのに、「ーーそうなんだ、なんで居ないの?」と、姉ちゃんはにこりと微笑み父さんを見つめる。
笑い方一つとっても、昔と変わらず姉ちゃんは美しくて―――
だけど俺の知らない姉ちゃんになっていて…



