“ちょっと家に来てくれないか?”といったメールをしたので、

今、俺の隣には植木という派手派手しい女がいる。
確か隣りのクラスの女で、以前宿題を手伝ってくれた女だ。


パサついた明るい髪は毛先が広がってる、ファンデの浮いた肌は潤いがない、墨汁みたいな目には光がない。

――姉ちゃんとは真反対だ。

沈黙が意味するものは知っている。

姉ちゃんは結城と…なのに俺はしたことないからいけないんだ。


「してい?」
名字しか知らない植木に言った。

その声は強弱がない一本調子。…感情を込めない人の音をした言葉。

植木は妖艶に頷く。
堀にこの女に……軽率だ。気持ちが悪い。

あるいは俺が真面目すぎるのだろうか。

やけに湿度が増す理由なんて…

「…付き合うとか、ないからな?」

「…だっていっちゃんカッコイイから」

「……そっか」

植木をベットに寝かせた。グレーのシーツにかさついた髪が散る。

皮膚に溶けるシーツは肌触りがいい。ベットが深く沈む。



服を脱がせようとTシャツに手をかけて―――