白は花嫁の色


俺は
――結城琴になりたい。


魔法が使えるなら―――

…結城琴になりたい。


お金持ちで大人でスーツが似合って、ゆとりがあって…王子様で…



だけど、結城琴になれない事を知っている。

ばかばかしい。



文庫本を鞄に放り込んだ。





魔法とは、きっと金だ。
金さえあれば魔法使いになれる。

なんでも夢が叶うんだ。


金が、全て。

姉ちゃんを好きな俺は金が全てだよ――

きれいごとなんかいらない。必死なんだ。



いつの日かもしも、俺が大金持ちになったなら―――

そんな いつの日…姉ちゃんは隣に居るのだろうか。