「はあ…」
必要以上にゆったりと足を持ち上げ歩き、もはや恒例となった場所、公園に向かった。
夕日に紛れて影となり、消えてしまえたらどんなに楽だろうか。
読み掛けの文庫本を開き、興味はないが続きを読むためベンチに腰掛けた。
ストーリーは、冴えない中年サラリーマンが魔法使いになるとかいうリアルとファンタジーの織り混ざったものだ。
――魔法が使えたら俺はどうする?
小学生でも願わない“もしも”に目を閉じる。
そこは無限の空間で、自分の理想が簡単に手に入る世界。
まず姉ちゃんを取り戻す。
それからお金持ちになる。
―――…それで?
そう、告白をする。
振られたら振られただ。別に振られたら振られたことを受け入れる。ただ気持ちを知って欲しいだけなのだから。
振られたら…――そう考えると、夢幻の世界から現実の世界へ。
…おかしなことが頭を支配した。



