ああ、そうか。
こんなにも姉ちゃんに依存している原因が判った。
“姉ちゃんが居なくなった俺”になってから、部活も勉強も友達も何もかもを投げ出したからだ。
将来から逃げたからだ。
今俺の手元にあるのは姉ちゃんへの想いだけだからだ。
だからこんなに姉ちゃんのことばかりが、頭の中を独り占めしているのだろう。
他に何か見つければ良いんだ。
自分の為に、何かを…
―――考えてみた、考えてみてこれだ。
笑える。
驚くほど何もしたいことがない。
俺には自分というモンがない。
姉ちゃんが忍の時がなかったように、“姉ちゃんの彼氏になる”以外の俺がないんだ。
一つの夢があるから、たくさんの全てを頑張れただけで、
どうやらたった一つの夢が消えたから、その他の全てに興味がなくなってしまったようだ。



