白は花嫁の色

――

暮らしやすくなった家は生き辛くなった。

バスケは嫌い。勉強は嫌い。ケーキは嫌い。夜は嫌い。白いワンピースは嫌い。

――自分が嫌い。
俺は嫌いなものが極端に増えた。

今までは“苦手”だっただけで、苦手は姉ちゃんによって“好き”なものに変わっていた。

でも今は姉ちゃんが居ないから“大嫌い”だ。

姉ちゃんが居ないから俺は嫌いなものに包まれていて、その纏まるものを払いのけれないでいる。

大嫌いだ、全部。
克服したいなんて思わない。大好きなのは姉ちゃんだけ。

大好きなもの以外はいらない。必要ない。


大嫌いな人生になった。
目に入るもの全て、耳に入るもの全て、もう姉ちゃん以外の全てが、

息をするのも、眠るのも、考えるのも…

一秒一秒が全てが。
俺という全てが…大嫌いだ。

大嫌いだ。苦痛でしかない。


…もちろん、姉ちゃんはそんな風になる俺を望んで居ないことは知っている。

でも…姉ちゃんが居なきゃダメなんだ。


あなたは俺の全てだから――…