白は花嫁の色

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相変わらずの日々をやり過ごしていた。針に重りがあるんじゃないかっていうくらい、時計は回らない。


「いっちゃん〜!!」


……いっちゃん?

…近付いてきたのは学年一ガラの悪い集団の男子と、学年一ケバい集団の女子だ。


「なあ、お前最近俺らの仲間入りしたい訳?」「遊ぼうや」

「は?……俺、別に……」

話し掛けられたと言うことは、いっちゃんは俺のことのようだ。


「お前最近かっこいんじゃね?ちょっと前はただの部活少年だったのに」「そうそういっちゃんかっこいいよー!!」「お前彼女いんの?」「ねー遊ぼうよ!!」


「…俺」

髪を染めたから…なのか?たったそれだけで?

俺はこいつらみたいに学校をさぼって街中繰り出したり、万引きを武勇伝にしたい訳ではない。

そんなガキみたいなことしたくない。ダサいことしたくない。


「悪い、俺、用事あるから」

不自然な細い眉や、頑張って立たせた髪、カラーシャツ…格好悪いと思う。

不自然な目元、頑張って巻いた髪、短いスカート…見苦しいと思う。

悪い=イケてるみたいなのは寒いと思う。

…そうなりたくて髪を染めた訳ではないのだから。

アドレスだけを交換し、なんとか擦り抜けた。




この先何がしたいのか、どうしたいのか…

ちゃんと考えなきゃならない。


走って逃げてばかりだと、いつか足をくじくだろう。