白は花嫁の色


真っ暗の中、「好き」という声がした。



――好き、?
好きって言ったのか?


跳ね上がるように体を起こし、俺は堀を睨んだ。

血が逆流してるみたいだ。苛立つ。

俺が姉ちゃんに好きなんて言えなかったのに、堀はあっけなく言った。

好きっていう大事な気持ちを、大事な言葉を安売りしたんだ。

とことんうっとうしい女だ。


「嘘吐くなよ、お前俺の何を知ってる?!知らないだろ、俺は誰にも素を見せたことはないんだ!!好き?何がだよ?

…それに少なくとも姉ちゃんを軽視した堀なんか好きにならない、大嫌いだ」

睨んだ。瞼が変形するくらい睨んだ。

「…シスコンだね」と堀はキっと俺を睨むが、ややあってバカにしたような笑みを浮かべた。


ああ…俺はシスコンなのだろう。姉ちゃんが好きなのだから。

否定はせずに、「堀は安い女なんだな」と嘲笑ってやった。

あのまま行為を進めたら掘はどうするつもりだったのだろうか。

…もしそうなっても金輪際シカトするつもりだった俺を、それでも好きだと言うのだろうか。

怒ったのかバタバタと部屋を出て行って、そしてまた一人になった。

一人で良い。他の女なんて要らない。たった一人姉ちゃんが居てくれたなら…