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「なあなあ昨日宮田からメール来てさ、今日遊ぼうって。遠藤も来るって。

みんなで放課後どっか行こうって話んなっててさ。な、部活さぼらねぇ?」

へらへらと相坂は嬉しそうに言う割りに、どこかこちらの調子をうかがう。

意外と一人で行動できないタイプのようだ。


「部活は?」と問うと、「だからさぼる」と即答された。
サボるとは休むことで…

確かに部活は暑いし疲れるし、一日くらいと甘い誘惑がある。


「……俺、部活はさぼらない出る。行くんなら久保と行けよ、な?」

目を細め明らかに不服そうな表情になる相坂に、俺はきっぱりと、

「ごめんな、俺受験と部活は絶対なんだ」と告げた。


友達に誘われたならサボるのが普通だろう。(それに“恋愛”が絡むなら尚更)

付き合いが悪いとか友情が台無しだとか、煙たがられるかもしれないが、

自分がしなきゃいけないことがちゃんと分かっているから――断った。


本当は俺だってサボりたい。元々バスケの楽しさは…――得意と好きでは違うから。



――けど。

姉ちゃんと約束したから。バスケと受験だけは絶対頑張る。
――何があっても絶対。


中学三年生の俺が姉ちゃんに出来るのは、この二つしかないのだから。


頭の上の空は高く晴れていた―――