教室に不揃いに並んだ机、荷物で溢れたロッカー。…ここが俺の居場所なんだ。
担任に放課後進路指導室に来るよう言われた。クラスで孤立した俺に誰も話しかけて来ない。
これでもう誰にも心配されたりしない。俺は姉ちゃんに心配されるだけの俺で居たいから別に構わない。
なにもかも全て姉ちゃんが主軸だったのだから、主役の居ない映画なんて見たくもない。
廊下を抜けて広がるのは中庭に咲く季節の花。
お気に入りだった中庭の風景なんてもう綺麗だと思わなかった。雑草だらけのただの荒れ地だとしか思えなかった。
進路指導室は職員室の隣りにある。ノックをすると担任はもうイスに座っていた。
机を挟んで向かい合うように腰掛けると、妙に真面目な顔をした担任と目が合った。
右手で眼鏡を押さえ手元のノートを畳む。…きっと俺の素行が書いてあるのだろう。