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以前は姉ちゃんが居るから大好きだった土日はダラダラと過ごした。明日から中間テストだけど、どうでも良かった。

休日を有効に使えない人間は人生を無駄にすると思う。だから俺の人生はもう腐っているのだろう。


綺麗な一人部屋。
この部屋も姉ちゃんと引き換えに手に入れた。……こんな暮らし望んでなかったのに。

あの貧乏な暮らしで良かったのに。

結城に奪われた。
人生狂わされた。
渡せなかったプレゼントを眺めると胸が痛い。

服とか化粧とか姉ちゃんは我慢していて…そんな姉ちゃんに喜んで欲しかったから買ったのに。

―――渡せなかった。
だったら十二時になった瞬間、渡しておけば良かった。

シンデレラの魔法は十二時で終わりではなく、十二時から始まるはずだったのに。

渡す相手のいないプレゼントはこんなに惨めだなんて知りたくもなかった。


姉ちゃんに会いたい。
助け出したいのに、自分じゃ何も出来ないと分かってしまうのが辛い。


ごめんな姉ちゃんごめん。
俺が市井の家に世話にならなかったら…姉ちゃんはいくらか楽だったろうに。

だから俺のせいなのだろうか…俺のせいで父さんは娘を手放したのか。

ごめんな…

会いたい。笑った顔が見たい。バスケ、俺嫌いになったんだよ。ケーキも嫌いだ。白いワンピースなんか大嫌いだ。


姉ちゃんの隣に居る、そんな…りそうの世界を手にできるのは、金持ちにしか許されない―――