声の主を見る為に、地上に目をやると息を切らした相坂と久保が居た。
尋ねなくとも、俺は二人が俺を探していた理由を知っている。
――退部届を出したからだ。
「退部って聞いてねえぞ」「なんでだよ」
………ほら。正解。
なんで、なんて簡単だ。
「俺バスケ好きじゃないから」
ただそれだけだ。真実を言った。
同じ部活仲間としてはありえない言葉を聞くなり眉を寄せ、露骨に感情を出す子供らしい二人がたまらなく羨ましい。
「はあ?雅特典王じゃん、エースじゃん」「お前バスケ上手いじゃん!!」
「バスケ興味ないから。好きじゃないから」
「はあ?!ふざけんなよ?こっちは困ってんだ」「お前頑張ってたじゃん!今更意味不明だよ!!」
怒れる相手が居るって羨ましい。俺が怒りをぶつけたい相手は父さんでもなく結城でもなく自分自身なのだから。
ぎゃんぎゃんうるさい。うるさい。お前らに関係ないだろう。
怒り任せに口にした。
「ふざけてない。バスケなんかする意味なんかない」
「市井?!てめえなんなんだよ」「うぜえ!!迷惑かけんなよ!!」
子供を怒らせるのは簡単だ。好きなものを侮辱したらいい。
姉ちゃんを侮辱されたら、単純な俺はきっと……



