白は花嫁の色


父さんは俺が居場所を知ったら、無理やりにでも連れ戻すから言わないのだろう。

――連れ戻したら工場は潰されるに決まっている。

それだけじゃ済まない。肩代わりしてくれた借金はどうなる…今から働いて返せると言うのか。


姉ちゃんを迎えに行きたいのに、子供だと知っている俺は何もできない。

子供は子供だと知らないから子供で、子供だと思っている俺は子供ではないのだろう。

けれど、自分一人で生きられない無力な俺は大人でもない。大人の世話になるしかない身分の俺。

―――子供と大人の中間の俺はどうしたらいい。


姉ちゃん…
見上げた空はきれいだと思わない。姉ちゃんが居なきゃ世界は味気無いんだ。

からっぽの心は結城に対する憎しみ以外、何を育てたらいいと言う。



無、の空間に

「雅、やっと見つけた」


と、子供の声がした。