白は花嫁の色



久しぶりに中学生らしく学校に行った。変わらない教室の様子があほらしくて低俗で仕方なかった。


「どうしたんだよ?風邪か?」「大丈夫ー?長期休暇か?」

相坂と久保が心配してくれているような顔で近寄って来た。

「別に…」
それに対して無愛想な返事をし、俺は机に向かって俯せになった。

頭の上に「雅くーん?」「イッチー様?」と、掛けられる声をシカトする。


夢ならいい。夢であってほしい。
…眠る瞬間、そう願うようになった。



授業中も机に体を預けだらしなく伏せたままでいると…

「市井!!起きろ」

…うるさい声。

「市井っ教科書出せよー、寝るなら減点するぞ?」

うるせえ…


市井、市井、市井、それは俺の名字。姉ちゃんと同じ名字。―――イチイは耳障りな音。


「うっせえなあ!!」

怒鳴っていた。
国語の先生が目を丸く広げ俺を見下ろす。仮にも市井雅という生徒は推薦を狙う優等生だからだろう。


「市井?!」
「………あほくさ」

俺は正真正銘あほだな。
先生は悪くないのに、相坂も久保も悪くないのに。

八つ当たりしかできないガキ。…席を立ってざわつく教室を出る弱虫なガキ。

好奇の目を向ける癖に、声をかけないのが子供なのだろう。


姉ちゃんは今どこで何してるんだ?俺にできることは何か教えてほしい。

姉ちゃんと居たいから働きたい。市井なんて名前は嫌だ。


―――どうして子供は無力なんだろう。