食卓には豪勢な寿司があって…
みんなバクバク食べていて…俺は二口食べて手を止めた。
お腹いっぱいに食って、何になる?
ここにある全てが姉ちゃんと引き換えなんだ。…吐きそうだ。気持ち悪い。
どうしてあのままの生活を誰も望まないのだろうか。
ふと食卓の中央を見ると、フルーツがいっぱいのケーキがあって―――
「ケー、キ…?」
声が震えた。まともに喋れている感覚がなかった。
キラキラしたケーキは大きな丸。
「ああ、坊ちゃんから子供にって。良かったな」
「!!っ…」
フルーツいっぱいのケーキ。
俺がちまちま働いて買ったケーキより、遥かに質が良さそうなケーキ。
キラキラしたケーキ。
姉ちゃんに食べさせたかったケーキは食べてもらえなかったケーキなのに。
…簡単に買えるケーキ。
誕生日なんて祝えなかった。好きな女は…あの日……
頭が痛い。
気分が悪い。
吐きそうだ。
「俺、風呂入る」
逃げたくて風呂に入ったのに、―――ピカピカの風呂…大きな風呂。
この家のどこにも居場所なんかないんじゃないのか。
嘘だ嘘だ嘘だ
全てが姉ちゃんの代償なんだから――…
俺ら家族は、工場は…姉ちゃんによって…生かされていて―――
それが意味するのは……
信じたくない。
信じたくなかった。
泣きたいのに、泣いたら負ける気がした。だって泣いたら姉ちゃんが可哀相だから。
―――泣かない、そう決めた。
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