あれが姉ちゃんの婚約者。
後ろ姿を眺めながら、
―――あの手が姉ちゃんに触れたのかとか、あの唇が姉ちゃんにキスをしたのかとか、あいつが姉ちゃんを………
そんなことが頭を占める。怒りがすっ飛んで顔から火が出そうだ。
あんなにかっこいい人が、なぜわざわざ姉ちゃんを選ぶのだろうか。
結城という肩書きがなくとも、容姿だけで恐らく芸能人だってモノにできるだろうに。
…姉ちゃんじゃなくてもいいじゃないか、俺には姉ちゃんしか居ないのに!!
ただ、圧倒されただけだ。
気迫だけで“いい男”だなんて―――
てっぺんにいるんだ。高い塔のてっぺんの人。俺には手が届かない―――
正反対な大人。
帰りたくないけれど、ゆっくりと家に向かった。
深く考え込み過ぎてとうとう幻覚まで見ているのだろうか。
「…――え?!」
だって家がビニールシートで覆われているんだ。
青い。
「は、、??ぇ…??」



