こちらは何一つ間違っていないのだ。姉ちゃんはまだ十六だから、幼い女の子に手を出すなんて犯罪だ。同意がないなら性犯罪者だ。許せない。
イライラしながら待った。
顔も知らないならば待っていても無駄な事をしてると分かっているんだ。でも止めなかった。
俺にできることなんかないから。
スーツに身を包んだ大人たち、引っ切りなしに人の波が押し寄せて来る。たくさんの従業員を従え、さぞ金持ちなのだろう。
待った、分からない相手を待った。そうしなきゃ姉ちゃんを救えやしないから。
夜を知らせる合図に太陽が沈みかける空は薄暗い。オレンジになる頃から疎らに人は出て来る。
もう夕方を通り越した、けれどまだ夜とは呼べない曖昧な時間だ。
入口すぐ横にある観葉植物の陰に立った。本格的なストーカーになった気分だ。
無駄だと思ったが収穫はあったんだ。…ここの社員は「おはようございます〇〇さん」とか、「お疲れ様です〇〇さん」とか言う決まりのようで、
だから「お疲れ様です結城さん」と言われる奴を探せば良い。
耳を澄まし目を凝らし、戦闘の準備は完璧だ。