姉ちゃんは美人だから、結城は顔が気に入ったのかもしれない。姉ちゃんはスタイルが良いから、結城は体が気に入ったのかもしれない。
あんな噂のある男だ。もう……、姉ちゃんは…
誕生日なのに、誕生日に姉ちゃんは…
許せない悔しい、俺は何もできなかった……
守ってやれない、
救ってやれない、
ただの中三の子供、だ。
最後なんて姉ちゃんに「いってらっしゃい」と間抜けに見送って、帰らない姉ちゃんを待っていて…
「行かないで」と。
だめだった、行かせたらだめだったんだ。
あの時どうして…どうして一人にさせたんだろう。
よく考えたら二日前から様子が変だったじゃないか。恐らく二日前に知らされたのだろう。
二日もあったのに、なぜ俺は話を聞いてやれなかったのだろうか。
誕生日に浮かれていたのは自分をアピールしたかったからで……俺のせいだ。
あの日、家から姉ちゃんを出さなかったら今は違ったんだ。
あの日の行動だけで幸せは一つ残らず消えた。悔しい、悔しい、虚しい、苦しい……
なあ、姉ちゃん。
俺はあなたがずっと好きなんだ――
なのに、……ごめん。
もっと「しのぶ」と…なまえを呼んであげたら良かった―――



