「っ父さんは!!姉ちゃんが心配じゃないのか!?愛のない婚約者の…!!妊娠だってするかもしれない!!それでもいいのか?!」
普通嫌だろう。愛娘が見知らぬ金持ちってだけの男の子供を産むんだ。
初孫が可哀相じゃないのか?!
なのに父さんはうろたえやしない。俺が火なら父さんは水。それくらい俺たちは同じ方向を向いていない。
堪らず更に叫んだ。
「無理矢理されるかもしれないんだ!!いや、もうされてる、だってあんな噂っ…〜もう乱暴されてるんだ!!手遅れだ!!っどうしてっなんで助けな「落ち着け雅!仕方ないんだ、でも忍はもう金に困らないんだ、贅沢できるんだから幸せなんだ」
何も伝わりやしない。
目の前の父さんを殴りたかった。殺したかった。憎かった。今すぐ殴り殺したい。婚約破棄をしないなら死んでほしかった。
――結城をも…
ああ、絶望しかないじゃないか。
こんな分かりやすい絶望なんてあんまりじゃないか。



