白は花嫁の色


平然を装い食卓を囲むが、兄弟は俺に何か遠慮をしている。

それもそうだろう、昨日料理をめちゃくちゃにしたんだから……父さんに酷いことをしたんだから。

兄に失望したのかもしれない。昨日の言動は長男として最低だったと後悔しても無駄なのだけれど。


「姉ちゃんは?」と聞く椿。
純粋な目をする椿はまだ現実が分らないのだろうか。小六なら勘付くのではないのだろうか。

「うんーと、出かけてるみたい、ほら、誕生日…旅行…」

曖昧に笑った。嘘を口にして嘘が事実になれば良いのに。旅行なら良いのに。


まだ分からないのは俺だって同じかもしれない。

姉ちゃんは結城のところにいる。知らない大人のところにいる。
――もうこの家で雅って、名前を呼んでくれないんだ。



「兄ちゃん食べないの?」

兄と呼ばれるような役割を果たしたことが一度だってあったのだろうか。…思い返すも浮かびやしない。


「やるよ、ちゃんと食べな」

食欲がない。食べたくない。この状況から逃げ出したい。


宿題をしたかと、つくづく母親みたいだなと思いながら聞く。

してないと言うので、今日は特別だからと俺がすることにした。


何かしていなければ、気が済まなかった。何かをしていなければ、自分を呪い殺してしまうだろうから―――