「ねえあなた」
見上げていた視線を落とすと、それはさっき受付に居たお姉さんの言葉だった。
今から休憩だと言うので黙って後ろを歩いた。後ろにまとめた茶髪のくるんとした毛先が背中を踊る。
姉ちゃんの髪の毛はサラサラとしていた、なんて懐かしく思う。
昼間の太陽の下、そういえば姉ちゃんとあまり歩いたことがなかったなんて今更気付いた。
食べてと渡されたのは、カフェでテイクアウトしたらしきチキンのサンドイッチと、
搾りたてのオレンジジュースとオニオンフライのセット。…子供っぽいセレクトが無性に悔しかった。
いちいち遊具コーナーをポールで仕切ってある人工的な公園のベンチに座った。
そよそよとした風はまったりとした空気を運ぶ。
お姉さんは円のオニオンフライを咥え、「ひょっとして婚約者の恋人?とか?」と笑った。
勘のいい人なのかもしれない―――出会って数分、勝手に解釈した。
「…幼馴染み、です」
正直に弟だと言うと恐らく聞きたいことが聞けなくなる。
恋人だと言えば仮にも婚約している身だ、姉ちゃんの噂が悪くなる。
だから俺は“幼馴染み”だと偽った。
「結城ってどんな人なんですか?」



