「高校行くし今は部活もする。けど交換条件、受かったら部活はしない。バイトさせて?」
「んー……成績が落ちないならいいよ、落ちたらすぐバイト禁止ね」
あんまり賛成してないのは分かったけど、
俺だって勉強より本当は家の為に金を稼ぎたいので押し切った。
苦労を分かち合いたい、守られてばかりで居たくない。
――きゅっと握られた手。
「あ、もう着いた」
歩いて数分の距離は俺には一分に思える。
――姉ちゃんは時飼いだと思う、時間を操るんだ。
だって姉ちゃんと一緒にいる時間は、いつも駆け足で過ぎていくから。…もったいない。
「近いんだよ、だから一人で平気だよ」と、眉をたらし、
聞き分けのない子供をあやすような顔をする。
…送る必要はない、つまり受験勉強をしろと暗に言いたいのだろう。
――姉ちゃんは分かってない。
眉間をいくらか狭め俺は言った。
「あのさ、無防備すぎるよ、ひったくりも痴漢も多いんだ、犯罪に巻き込まれ「大袈裟だよ雅は」
「でも!!っ〜……うん、まあ、じゃあ、うん頑張って」
――これ以上言ってもムダだ。
少し頑固なところもあるから、曖昧に会話を終わらせた。
「ありがとう!おやすみ!!」
笑顔の姉ちゃんは
……本当なんも分かってない。



