…
どれだけ居たんだろう。
朝焼けが眩しく、いつの間にか瞼の裏が真っ赤な世界になっていた。
眩しい朝日は今の俺にはきつすぎる。剥き出しの心がひりひりと炎症してしまうから。
影になった自分がくっきりと地面に黒く居た―――
重力が百倍になった体を引きずり家に帰ると皆、俺の部屋で寝ていた。
いつも寝室代わりにしている茶の間には、昨日ぐちゃぐちゃにした料理が無残に散らばったままだった。
――当てつけに思えた。片付けないことで俺を縛る。
……ケーキ美味しいって喜んで欲しかった。ステーキ久々だねって喜んで欲しかった。……プレゼント渡したかった。
姉ちゃんを笑顔にしたかった――…
それだけだったのに。
何一つしてやれなかった。
現実なんだ。姉ちゃんはもう居ないんだ。
“びっくりした??”って笑いながら姉ちゃんが現れるんじゃないかって。
期待していたのに――――
認めたくない。怒らないから“びっくりした??”って出て来てくれ。
何もいらないから。
受験頑張るから。
工場立て直せるくらい稼ぐから……
だから、傍に居てくれ―――
王子様になるまで待っていてくれ…お願いします。



