「忍と工場、取引だ」
淡々とした物言いに余計憎しみが増した。もう少し辛そうで申し訳なさそうな口調だったなら…
取引、
取引なんて物々交換だろう?
……。
ベシャっと音がした。
気が付いた時にはケーキを父さんに投げた後だったようだ。
肌色がカスタードクリームの色になる。苺の赤、ブルーベリーの紫、キウイの緑、綺麗に汚い。
泣き出した実と茜の声がうるさくて、うるさくてうるさくて――――
うるさいんだよ!お前らが泣いたって何もならねんだよ!!!泣いたからって姉ちゃんは帰ってこねんだよ!!
言えない怒りを飲み込んで、行き場のない感情は――机さえもひっくり返していた。
ガシャーンという耳を裂く音は、隣家からすれば、父親の家庭内暴力か思春期の息子の反抗か、そんなところだろう。
不協和音、騒音、雑音。
それは温かいハッピーバースデーの歌なんかではない。



