それは姉ちゃんに食わせたかった料理なんだ。雅すごい、美味しいね、そう言ってもらいたくて作ったんだ。
姉ちゃんが食べないと意味がないんだ。肉屋のおっちゃんだって……
誕生日の料理だ。幸せを感じてもらいたくて作った料理だ。
それは笑顔の為で、プレゼントを渡したいからで…俺を好きになって欲しいからで――
振り下ろした腕で父さんの手からフォークを払った。そのまま斜めに畳に落ち鈍い音がした。
ソースが茶色くい草に染みを作り、あっという間に広がる染みは、心を蝕むような色…――
汚い色。
「なんでっなんでだよ?っどう、して!おかしい!!」
…婚約?
そんなことあってはならない。ここは姉ちゃんが幸せに暮らすお城なのだから。
今からお誕生日会が始まるのだから。まだ食べてないどころか、見てもいないし、プレゼントだって渡してもいないのだ。



