「姉ちゃんを、…売った…?」
震える声に男らしさなんてない。否定されることを仮定した女々しい問いだ。
兄弟のことを気にする余裕なんてなかった。長男らしさなんてなかった。
幸せのお城で、ただ父さんと対峙するだけで精一杯で―――
フォークに刺したお肉を傾けて、「ああ、そうだ」と告げた。
――ああ、そうだ――
短い返事を望んでなんかいない。
…つまり姉ちゃんを売ったと肯定したのか?
首肯、とは…
一気に頭に血がのぼった。カっと体の中が骨の内側から熱くなる。脈がどくどくと皮膚を激しく打つ。
体の神経が、皮を剥いだみたいにズキズキジクジク痛む。
影を薄く作る照明が、お誕生日料理を包み込んでいて――
「食べんなって!!っ食うな!!」



