六階建ての地下二階まである街中のデパートの館内には、静かなクラシックが川のせせらぎ程度に流れている。
案内板を頼りに(色分けの意味を理解するのに時間がかかったが)、目的の物を捜し周った。
―――驚いた。
予算は一万円でネックレスを買うつもりだったのだが、安くて八千円くらいの物があると思っていた…
しかし実際は三万、下手すればもっと高額な値段ばかりで…だから店先に警備員が居るのか。
一万円は俺には大金でも、全然ここでは足りないようだ。
……どうしよう。
視線を左右に動かせば、ゴールドのアクセサリーが似合いそうな富裕層の中年女性や、
若い子も澄ましたお金持ちそうで、明らかに俺は浮いている。
そもそも女向けフロアに居るのだから、端から浮いているのだ。
ファッションに疎い俺でも読める英語のメジャーブランド。…これ以上ウロウロしても仕方がない。
こういったデパートではなく、学生向けのファッションビルにある店でないと買えないのかと諦めた。
――値札の桁が違うのだ。
それに……指輪ばかりに目が行くから…
ペアリング…婚約指輪…
…きれい
……高い、な。
……。
香水か分からないけど、独特の“都会の女”の香りがする。――俺を追い出そうとしやんばかりに。
だって王子様なら指輪をすぐに買えるのだろうから…



