宿泊客以外も利用できる喫茶店のようなケーキ屋さんに案内された。
お姉さんの話によるとここも充分に美味しくて、特にフルーツタルトが人気らしい。
無理を承知で誕生日用にできないのかと尋ねると、
長い説明の後、「僕可愛いしお姉さん頼んであげる」と、いくらか頬を赤らめて、何やら従業員と話し込んでいた。
「四千円円、ワンホール、大丈夫??」
「はい、明日取りに来ます」
「お名前は??」
「“忍ちゃんお誕生日おめでとう”で」
――名前入りのワンホールケーキなんて、いつぶりだろうか。市井の母親が居た時以来かもしれない。
連絡先と名前を台帳に書いて――
目が合ったのでお姉さんにニコニコ笑いかけるも、内心チョロいなと思いながらホテルを後にした。
すごくケーキ美味しそうだった。いちご、キウイ、桃、ブルーベリー、メロン、ベリー、バナナ。色んな色の宝石が散りばめられたケーキ。
…姉ちゃん喜んでくれるよな。ドキドキする。
特別な日になるはずだ。
――素敵な王子様に近付けるはずだ。



