白は花嫁の色


「お帰り、遅かったね?」
「んー、ただいま。部活の後話してたから」

挨拶もおざなりに、頭の中は晩ご飯の献立。給食を食ってから何も食べてないから腹ペコだ。

手を洗って台所のイスに座り、用意された食事に目を通す。

タマゴと玉ねぎの丼と、魚肉ソーセージとキャベツやにんじんの野菜炒め。…シンプルイズベスト?


「冷めてるけど食べちゃって」と、姉ちゃんが遠慮気味に言うから、

「いや、俺が遅かったからだし」と笑ってみせる。(先々週に電子レンジが壊れたんだ)


「実たち寝かせてくるね」
「…うん」

姉ちゃんの後姿を目だけで追って、早速箸をとった。


――うちの家は平屋?で。
玄関すぐが台所、横に風呂とトイレ。

台所と続けて和室が二つあって、八畳のほうは弟達の寝室であり、

遊び場であり居間であり、……つまりほとんどをまかなう部屋だ。


もう一つの六畳の部屋は、受験生だからという理由で俺の部屋。

最近父さんは試作品の為に工場で寝泊りしているので、あんまり顔を合わせていない。


「……」

正直、食べ盛りの年齢には全然足りない。胃袋の中の四割くらいしか満たされた気がしない。

だって夜なんてお腹が空いて寝れなかったりするんだ。


――けど、うち貧乏だから。