自転車を走らせること小一時間。街中を越え少し山沿いに向かう。
幸せいっぱいな俺の心のように、すっきりと晴れやかな青空――
おっきなおっきなお城みたいなホテルに、舞踏会に招待された貴族のようにテンションも上がった。
パーティーで出したケーキはどこで買えるんだろうか。
赤い絨毯にシャンデリア、本当お城みたいだ。入口だけで夢見心地な世界――
場違いだと知りながらフロントのお姉さんに、パーティーで食べたケーキはどこで買えるのかと尋ねた。
しかし、特別な料理だったとかで売っていないのだそう。
「…そうなんですか」
いくらか大袈裟にしょげてみせた。眉を下げ瞳を潤ませがっくりと肩を落として…
りんごみたいに真っ赤な絨毯に沈んだスニーカーを眺める。
「…カフェのじゃだめかなあ??同じくらい美味しいわよ??」
カウンターの向こうに居たお姉さんは「悪いけど私案内するから」と、仲間に声をかけ、こちら側に出て来た。
…計算通りだ。
なぜか俺は大人の女の人にいつもよくしてもらえる。相坂が言うには“顔で得してる”らしい。
よく分からないけど、損をするよりは全然良い。



