白は花嫁の色



眠りに誘われる中、思い出していた。


―――昔の記憶を。

母さんに「いいこにするのよ」と茶色い封筒を渡された。
勤め先の工場の前だった。

あっさりと捨てられた。

あっさりと工場を経営していた市井家に引き取られた。

それで、姉ちゃんは俺を可愛がってくれた。


その頃から工場の業績は右肩下がりで、市井の母親は「こんな生活は嫌だ」と出て行った。

なんだか、俺は母親に二回捨てられた気分だった。



――あれから

姉ちゃんが居たから頑張れたんだ。

本当は女なんか信用できなくて、心を許せるのは姉ちゃんだけだった。



握った手は、いつの間にか俺の方がでかくなっていた―――



「好きだ」



……と、眠っている姉ちゃんに言ってみる。


もう、何度こうして姉ちゃんに愛を告げたことだろう。

明かりのない暗闇。


―――黒は俺の秘密をよく知っている…