騒音級の兄弟が眠っていると、家の中はすごく静かだ。
同じ家なのに太陽があるかないかで、雰囲気ががらりと変わる。
「仕事は?遅刻するよ?」
「っあーー今日は、休んだ。休みなの」
「………?へえ」
分かりやすい姉ちゃんは目を泳がせるも唇に笑みを添える。
動揺し過ぎだろう。まだ授業をサボる俺の方がうまくごまかせる気がした。
やっぱり何かがおかしいなと直感が頭を過ぎった時、「雅、話さない?外出ない?」と姉ちゃんが言う。
いつもと違う顔をした姉ちゃんは、こんなに線が細かったかなと不意に思った。
……仕事で嫌なことでもあったのだろうか。
何よりこれ以上この場所に居たら、姉ちゃんが消えてなくなりそうで、
だから俺は急いで姉ちゃんの手を握り、家を飛び出した。
繋いだ手が離れないように、強く強く強く握りしめた。
ぼやけた外灯に見つからないように、…お姫様をさらう賊のように―――



