白は花嫁の色

――

「お世話になりました!」

「頑張ったな、また働いてくれたら助かるよ」

久保のお父さんがおっきな手で俺の頭を撫でる。飼い主が猫を褒めるようにして…

使えないコドモを無理に働かせてくれて、本当に感謝している。


「うちのと仲良くしてやってくれ」
「はい!ありがとうございます」

給料の入っている茶色い封筒を丁寧に両手で貰った。

二十五日働いたから五百円で一万二千五百円。袋には確かに一万二千五百円と記されている。

薄くて軽いが、受け取った瞬間に喜びで体の内側が熱くなる。

「それからこれはお礼だ。雅くんが働き出してお客様が増えたからね」

そう言ってもう一つ紙袋を渡そうとする。

けれどはっきりと断った。そりゃあお金なんてくれるだけ欲しい。好意に甘えてしまいたい。

だけど貰う訳にはいかないから。


最低限の約束を守ることが子供の義務だから――