*
邪念を払い宿題をしていたが、約束の時間になったので俺は日課をこなす。
――手を繋いでゆっくりのんびりと歩くんだ。
例え数学の閃きが降りかかったとしても、勉強は中断して。姉ちゃんが最優先だから。
意識しないようにと人が我慢しているのに、「大丈夫?」と触れられた頬は一気に熱を持つ。
意志の弱さを自重し、「うん」の代わりに頷いた。
ゆるゆるとした風が吹いて、重たい色の空に乗っていた雲を動かしていく。
「ねえー内緒にしないでさ?…彼女でしょ、ほっぺビンタするのは女子しか――「彼女なんか居ない!!」
彼女が居るだなんて誤解されたくなくて即効で否定した。
普通なら否定する様で俺の気持ちに気付くはずなのに、
――姉ちゃんは気付きもしない。
そして、「でもなぁ、雅に彼女できたら嫌だな、寂しいよ」なんて言うんだ。
――これは駆け引き?言葉遊び?
どうかお願いだ。
告白する前に振らないでほしい。
それも無意識に振らないでほしい。
「……できない、よ」
姉で居続けないでくれ……
頼むから、俺をちゃんと見てほしい。その目で――
ちゃんと夢物語から目を逸らさずに――
邪念を払い宿題をしていたが、約束の時間になったので俺は日課をこなす。
――手を繋いでゆっくりのんびりと歩くんだ。
例え数学の閃きが降りかかったとしても、勉強は中断して。姉ちゃんが最優先だから。
意識しないようにと人が我慢しているのに、「大丈夫?」と触れられた頬は一気に熱を持つ。
意志の弱さを自重し、「うん」の代わりに頷いた。
ゆるゆるとした風が吹いて、重たい色の空に乗っていた雲を動かしていく。
「ねえー内緒にしないでさ?…彼女でしょ、ほっぺビンタするのは女子しか――「彼女なんか居ない!!」
彼女が居るだなんて誤解されたくなくて即効で否定した。
普通なら否定する様で俺の気持ちに気付くはずなのに、
――姉ちゃんは気付きもしない。
そして、「でもなぁ、雅に彼女できたら嫌だな、寂しいよ」なんて言うんだ。
――これは駆け引き?言葉遊び?
どうかお願いだ。
告白する前に振らないでほしい。
それも無意識に振らないでほしい。
「……できない、よ」
姉で居続けないでくれ……
頼むから、俺をちゃんと見てほしい。その目で――
ちゃんと夢物語から目を逸らさずに――



