「あの子は本当にいい子だったのよ。本当に、本当に、元気があって愛想の良い子で……色盲をもっていて少し悩んだ時期もあったけど、あの子は本当に……」


えりのお母さんは泣きじゃくり、えりのお父さんに肩を支えられて立ち去った。


でも僕には、心に残る言葉がひとつあった。


「色盲ってどういう事です?」


えりのお父さんは暮れた表情をしていたが、精一杯の笑みを作った。


「あの子は、色がほとんど見えないんだ。特に原色に弱くてね。青とか赤とかにね」