「ん?」 えりはちらっと後ろの信号を確認して、また僕を見た。 「──き」 遠くから車の走る音が重なって、えりの声がよく聞き取れなかった。 信号は点滅を始める。 「何て言った? よく聞こえない。えり、車くるからこっち来い」 「大丈夫だよ。だって……まだ青だよ」 信号は赤くなった。