短編小説の集い。

 

僕は大きな傘を閉じた。

前を見ると、えりは舞うようにはしゃぎながら遠くの方へと進んでいた。

だけど、危険だと思わなかった。

えりだって高校生なんだから──そんな理由で安心した。


「えり。あんまり一人で遠くいくなよ!」

「わかってるぅ」


えりは微笑みながら僕の方を向いて、後ろ向きになりながら歩いた。

横断歩道に差しかかり、信号は青だった。


「なーつ」