俺の足音に平良は体をビクつかせて窓の外から視線をはずし、こちらに振り向いた。


大きな瞳と目があう。


純粋、無垢が宿った真っ直ぐな視線。



「……高石くん?」



俺の名前、知ってたのか。
半年以上同じクラスなのだから当たり前といえば当たり前なのだか、なぜかひどく驚いた。


そんな関係。



「……ちょっと忘れ物したから…」


そういって窓際の一番後ろの席、つまり彼女の後ろの席から今日借りたばかりの漫画を取り出した。