いつも亮平の自転車で、こんな風にバタバタしながら登校していた。

でも、もうそれも最後。


「結局、余裕を持って登校できたのは一回もなかったなー。菜緒のせいで!」

「なによう!女の子はねぇ、支度しなきゃいけないことがいっぱいあるんですー!」

いつもと同じ憎まれ口を叩きあいながら、桜舞う坂道を猛スピードで駆け降りる。

あたしは亮平の背中にしがみついた。

亮平の背中は広くて暖かい。

いつのまにこんなに大きくなったんだろう?

幼稚園のころはあたしより小さかったはずなのに。