―――戻っかな―――
体育館に戻ろうと俺は立ち上がった。
けれど、美咲に近付く知らない男子生徒の姿に、俺は体育館に踏み込もうとしていた足を止めた。
遠くに見えるだけで詳しい事は分からないけれど、2人は何か言葉を交わして図書室から出て行ってしまった。
嫌な予感がする。
女のカンには負けるだろうけれど、2人の立ち去る姿を見て、俺の中では何かの危機感が生まれた。
―――まさか…―――
気付けば休憩時間が終わると体育館から呼ぶ同級生の声を振り払って、俺は校舎の中へ走っていた。
廊下の端にある図書室の入口へ向かう。
最後の角を曲がろうとしたところで聞こえて来た声に、俺は急ブレーキをかけて止まった。