「でも考えるって言ったんでしょ?」
今日の真由子は、何だか容赦がない。
「それなら答え出るまでもうちょっと優しくしてあげようよ?今日の空人、かわいそうだったし。美咲、今日全然、空人の事、見ないんだもん」
そんな事を言われても昨日、いきなりあんな事を言われて、今日、平然とした態度が取れる程、私は切り替えが上手く出来ない。
自分は悪くないと言い聞かせる為に、そんな事を思ってみるもののそれでもやっぱり真由子の言う通り、今日の私の態度は空人を傷付けたと思う。
きっと隆太も私の態度の変化に気付かないワケがない。
「考える」と言ったところで冷静になる間もなく、毎日学校に行けば空人と顔を合わせてしまう。
正直なところせっかく出来た友達を失いたくはない。
けれど、空人を異性として好きかと聞かれると違う気がする。
私は完全に自分を見失っていた。
「じゃ、逆に何でいつもみたいに即答で断んなかったの?」
勢いを緩めない真由子の言葉に私は我に帰った。
―――断らなかった理由?―――
「何で今回は『考える』って言ったの?」