「ところで美咲、遅くない?もうすぐチャイム鳴っちゃうのに…」
真由子にならって時計に目を向けると朝のホームルームまで後5~6分しかない。
「空人のせいで学校、来れなかったりして?」
隆太が軽く放った言葉に反応した真由子が、俺を睨み付けた。
「美咲じゃなくて空人が休めば良いでしょ!」
珍しく張った声で真由子は吐き捨てるように言った。
「そうだそうだ」
隆太はまだ悪ふざけを続けている。
「俺のせいかよ…」
とうとうこの状況が辛くなった俺は、頭を抱えて机に顔を伏せた。
「私、ちょっと見て来る」
そんな俺より美咲の事で頭がいっぱいになっている真由子が勢い良く教室から飛び出そうとした。
けれどドアを開けた瞬間、真由子はいつも通りの真由子に戻った。
「美咲…」
真由子の声に俺は顔を上げた。
開いたドアのすぐ外側に美咲が立って居た。