―――代わりは居ない…か―――
真由子の言葉を声に出して言えなかったのには、もちろん理由があった。
けれど、心の中でだけ繰り返してみた。
そして、ちゃんと機内に持ち込んでまでして買って来た2つの琉球ガラスのグラスを出して、水を注いだ。
1つは、リュウと一緒に選んだ黄色いグラス。
もう1つは、リュウに見せずに買った青いグラス。
水を注がれた2つのグラスをテーブルに並べて置いて、私は静かにデジカメで1ショットだけ写真を撮った。
―――なら、あんた達は今の私達と一緒じゃん―――
私の意見に賛成するかのように、黄色いグラスの外側に付いていた水滴が、スーッと伝ってテーブルに落ちた。