「美咲、荷物、上げる?」
「あ、うん。お願い」
2人掛けの空席を見付けた俺達は、実家からアレコレ持たされて増えた荷物を、棚に上げて並んで座った。
「真由子、あの後、大丈夫だった?だいぶ酔ってたでしょ?」
昨日のクラス会の後、二次会まで行った俺とは別に、美咲は酔った真由子を担いでタクシーで帰っていた。
「いや…あれからも凄かったんだよ…家、着いてからまた飲んだんだから」
美咲は、昨夜の真由子を思い出して苦い顔をした。
「へぇ…それにしては今日、真由子、全然普通だったよね?」
「本当だよね…」
俺達は、渇いた笑いを揃えた。
「辛くなかった?けっこう空人の話し多かったでしょ?」
俺は、あえてストレートに聞いてみた。
「なんで?別にドロドロで別れたとかじゃないし、嫌な思い出があるワケでもないから平気だよ。逆にソラの話し出来て良かったし。東京の友達とは、ソラの話し出来ないから」
美咲は、本当に平気そうな顔をしていた。