梅雨、真っ只中の最近は、季節相応に雨が続いていた。
美咲と真由子は、水溜りを避けながら校門に向かっている。
「一緒に練習出来ないのが面白くないんでしょ?」
図星だったのか、空人は少し顔を歪めた。
「だってさ、今日は体育館使用日なんだぜ?外練で走るワケでも雨で中止になるワケでもないし。っつーかボール使えんだぜ?なんでそんな日にサボるのかが分かんねぇよ」
そういえば空人は美咲の他にバスケもかなり好きだった事を俺は今更ながら再確認した。
「ボール追っ掛けられればその後のバイトもテンション落ちないで行けるし」
上機嫌な空人に、俺は1つの疑問が浮かんだ。
「あれ?美咲のプレゼントってもう買ったんでしょ?まだバイトやってるの?」
数週間前、空人は美咲の誕生日の準備はすでに済んでいると言っていた。
だから俺は、空人はとっくにバイトを辞めているのだと思い込んでいた。