「…逃げられた」
空人はそれ以上、美咲を追わずに溜め息をついた。
趣向が変わったのか、美咲はまたバスケ部のヘルプを引き受けていた。
一方、最近割と何でも引き受けるようになった美咲を悟ってか、要請があったものの、真由子は単独でヘルプを断っていた。
案の定、美咲はアッサリ引き受けてしまったのだから、真由子の読みは正しかったらしい。
そんな美咲は、引き受けたにも関わらず、面倒臭いと練習からはよく逃げ回っていた。
―――それでも腕、落ちないとこが美咲だよね―――
俺は美咲を捕獲出来なかった空人を教室で迎えた。
「普通、帰んねぇだろ?ヘルプだからってさ」
本当にソコに対してなのか、空人は不機嫌だった。
「まあ、当日はちゃんと出るみたいだから良いんじゃない?女バスも美咲のあの性格分かって頼んでるんでしょ?」
俺は窓に寄って仲良く傘を並べて帰る美咲と真由子を見送った。
「それでもさ…」
空人も俺について2人に目を向ける。