「今回と同じ条件って何?」
俺はサキが言った台詞が気になっていた。
「ああ、バックは必ず学校かこの辺のどっかの風景にしてって言ったの」
そういえばさっき見た絵は全部「知っている風景に居るサキ」の図だった。
「なんでそんな条件付けたんだよ?」
俺は当たり前の疑問にブチ当たった。
「私がここに居た証拠になるでしょ?」
サキは得意気に笑った。
「何だよ、ソレ?それになんでまたアッサリ引き受けたワケ?」
去年はあんなに嫌がっていたモデルをサキはついさっきもあまり悩まずに引き受けていた。
俺にはそれがどうも引っ掛かってならなかった。
「ねぇ、ソラ」
サキが静かに立ち止まった。
「ん?」
俺も合わせて立ち止まった。
「相談があるんだけど」
サキはいつになく真面目な顔をした。
やっぱり彼女は、俺が見ている世界よりもずっと先を見ているのだと、この時、思い知らされた。